上智大・改

      






時制の一致

日本語では過去のことでも「〜した」と言わないで「〜する」とか「〜である」という場合がありますよね。しかし、英語ではその場合も「過去時制」を使うため、日本語ばかりを見ていると時制を間違ってしまう恐れがあるのです。そういう勘違いをなくすために生まれたのが、「時制の一致」という考え方です。

次の例を見てください。

私は彼がお金持ちである思った



(〇)
I thought that he was rich.

この場合、上の「時間の線分」で示したとおり、「思った」も「お金持ちである」も同じ時間のこと、つまり、両方とも過去のことを言っています。しかし、日本語では「お金持ちである」というふうに現在のときと同じ言い方をすることができるのです。この「お金持ちである」は現在っぽい言い方であるけれども、実際には過去のことなのだから英語では過去形にしなければなりませんよ〜、というのが時制の一致の正体です!要は、過去のことなら日本語に惑わされずに過去形で書きましょうということです。たったそれだけの話です。(^_^)

また、入試では、「I thought that he was rich.」を「私は彼がお金持ちだったと思った。」と訳すと減点される恐れがありますから、必ず「お金持ちである」と訳すよう心がけてください。


時制の一致のパターン
日本語訳と英語時制のズレに注目しましょう。 
 I said, “He is rich.”
     =I said (that) he was rich.
     (私は彼がお金持ちであると言った。)
   「お金持ちである」は過去の状態。
  

 I said, “He is reading a book.”
     =I said (that) he was reading a book.
    (私は彼が本を読んでいると言った。)
   「本を読んでいる」のはもう過去のこと。

 I said, “He will come.”
     =I said (that) he would come.
    (私は彼が来るだろうと言った。)
  
この「would」は、saidした時点では未来だけれど、
    今から見るともう過去のこと、という状況で
    使います。

 
I said, “He has finished it.”
     =I said (that) he had finished it.
   (私は彼がそれを終わらせてしまったと言った。)
   現在からみると「過去における完了」。

 I said, “He bought it.”
     =I said (that) he had bought it.
    (私は彼がそれを買ったと言った。)
   
「買った」のは「言った」よりも昔のこと。
     つまり、過去よりもさらに昔(大過去)。

 I knew where she lived.
  (私は彼女がどこに住んでいるのか知っていた。)
   

 I ran as fast as I could.
     (私はできる限り速く走った。)
   
「as 〜 as 主語 can」=「できるだけ〜」。
   「could」となっていても「できただけ」と訳さない。

 時制の一致は、文の中心の動詞が過去形のときに問題となります。(大学入試の英文法問題ではこれで十分です)

 文の中心の動詞が過去形のときは、その支配下にある動詞がいつのことを言っているのかを正確にとらえ、それに即した時制で英作しなければなりません。

 英語では、仮定法やその他の例外を除き、「実際の時間」と「動詞の時制」が一致するものなのです。




時制の一致の例外(その1)

現在も続いている習慣的な事柄 現在も成立する内容
 (このとき時制の一致に従わずに
  現在形動詞を使うことができます。)

例)
He said he keeps a diary every day.
  (彼は日記を毎日つけていると言った。)
    (現在もつけていると思われる)

例)
She said she visits him every year.
 (彼女は彼を毎年訪問していると言った。)
    
(現在もその習慣がつづいている)


現在も成立する内容であっても、「kept」「visited」と時制を一致させて表現してもかまいません。

不変の真理 科学的な事実
(このとき時制の一致に従わずに  必ず現在形動詞を使わなければなりません。)
  
例) The teacher said the earth
    goes around the sun.
(先生は地球が太陽の周りを回っていると言った。)
  (今でも成立する科学的事実)


ことわざ
(このとき時制の一致に従わずに必ずことわざをそのままの形で使います。)
  
例) The teacher said that practice makes perfect.
   (先生は「習うより慣れよ」と言った。)
  (ことわざ)


仮定法 仮定法現在 
例) He suggested that she go there.
   (彼は彼女がそこへ行くよう提案した。)

  (提案・要求・命令などの動詞で)
  ※このgoは仮定法現在(=原形)です。



仮定法過去 
例) She said if she knew his address,
   she would write to him.

 
  (もし彼の住所を知っていれば
   手紙を書くのにと彼女は言った。)
(実際には「過去の事実に反する仮定」でありながら、「現在の事実に反する仮定」の構文を用います。)

「時制の一致の例外(その2)」も、別の問題で解説しています。



時制の一致の例外で特に重要なのが「不変の真理」だよ〜



(1atmのとき)水が100℃で沸騰するのは科学的な事実であり、これは「不変の真理」であるため、問題文は時制の一致に従わず、現在形「boils」が正解になります。






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